忘れられた花の情景は
波間に消え消える春の夢
果敢なく落つるものがたり
わびしい待合室
ハンカチを広げ過ぎた日の椅子に腰掛ける
果てしもない打ち明け話が寂(さび)れた線路を通過する
跌(つま ず)くたび
器用さを欠いた覚悟に支えられ
未決の獣道(けものみち)を歩く
散る花びらを 噛めば
不確かさが口の中に広がり
逃れられない定めがおかしくて
報いを受け
見放され
翳(かす)む空の下
一本向(ひたむ)きであろう
晴れ晴れとしてあろう
無心にくちづける土の上
ひとしきり
雨に打たれた花の姿は
遠 ざかる春の夢の痕(あと)
2008年4月19日 土曜日19:21:58