メルヘン絵本の中で
仕合せ
雪のページを捲(めく)る君
雪は静かに積もるかい
キリストは仕合せだけを
抱き締めるだろ
昨日からパジャマのままさ
少女の夕食はパンくずの膳
賛美歌が好きだったんだ
歌うことができたら
あの重過ぎる紙
メルヘン仕合せ雪だって
読んでいた
不幸の味を知らないんだ
無理矢理口に突っ込まれた
不幸の味を知らないんだ
生きられなかった
もう生きられないと
見詰めた目から零れ落ちた
躊躇(ためら)いのない涙の前で
門灯を消したのは祝福だ
金庫にしか入らない祝福
少女はメルヘンを捨てた
2007年12月(Yahoo「仮泊」で作って発表した詩、政府とYahooが「仮泊」を不正に削除しました。)