書き始めた手紙は律儀に末尾へ向かい
道行く人は似通った袋小路に迷い込む
今日の紙面には滅びに向かう者の嬌態が並び
馴れ合いの台詞が明日を汚す
2月の風が晩鐘を運ぶ夕べ
友人は相変わらず黒い瓦とアンテナと青いカーテン
鏡台に向かう老いた肉片
植物のような影が西陽の揺らぎにくず折れる
むろん日々は傾いた天秤
叩きつけられくじかれて
出口が無意味な管の中
元に戻ることのない化学反応を生きる
刻印を打たれた手の平
それでも
ひたすら私である
さもあらばあれ
マニキュアを塗って鼻歌でも歌おう
2月の風は案外あたたかい
2009年2月14日 土曜日16時56分