選んだのがこの手の甲
鈍色(にびいろ)の山並み
駆け巡る赤い理(ことわり)
曇りの日は雲の片寄りに失望し
雨の日は雨の傾きに哀哀夏(か)さ
不本意発砂丘経由アナタ行きの列車
遮る夏草の眉目(みめ)
油蝉が掻き立てる焦心
遮断機が切情を片々(へんぺん)と伝え
一人口吟(くちずさ)ぶ
とぅ れいと
選んだのがこの掌(てのひら)
この筋のこの行(ゆ)き違い
辿ればやがて消える波打ち際のあどれす
凪いだ朝は水面(みなも)のざらつきに躓(つまず)き
荒れる夕べは無垢な情(なさけ)に身を砕く
諦め発砂丘経由アナタ行きの路線バス
刻々と閉ざされる曖昧の水門
白鳥(しらとり)の嗄れた声は朝の祈りに似て
振り返れば夕潮に沈む砂の上の欲情
一人口吟ぶ
とぅ れいと
2008年6月2日